RALEIGH ミニベロ2015 考察9 まとめ編 [ミニベロ考察]
前回でパーツ観察は終わりました。
今回は、
まずはRSC・RSPのギアが700cロードバイクと比べ、
どのようなギア比になっているか考察します。
次に、ギアを含めたパーツ全体のを組み合わせで、
RSC・RSPがどのように仕上がっているかを見る総括編です。
早い話がまとめ編。
パーツリストを再掲しておきます。
まずはギア比を考察します。
とは言え、純粋にギア比で考えてしまうと
ホイールサイズとギア比を同時に考えないといけなくなってしまいます。
それでは感覚的な比較が難しくなってしまうので、
今回は
ケイデンス90rpmのときの速度
で比較したいと思います。
「ディヴェロップメント(クランク1回転で進む距離)」なら
ホイールサイズも要素に入っているので話が単純に出来るのですが、
そもそもディヴェロップメントがあまりにも一般的ではなさ過ぎます。
なので当ブログではケイデンス90のときの速度で比較しています。
なお、700cロードのギアは、
フロントは50/34というきわめて一般的なコンパクトクランク、
リアは11速でちょっとワイド目ではありますが一般的なな11-28。
11-28はRSCと同じものです。
まずはRSCと700cロードの速度@90rpmを比較してみましょう。
グラフにしてみました。
黒線は700c、緑がRSCです。
また、実線+●がアウター、点線+三角形がインナーです。
まずはインナー。
ほとんど一致していますが、
よく見ると、わずかにRSCの方が軽い。
と言ってもギア1枚も違いません。
ギア0.7枚くらい。
RSCのインナーが42Tになっている効果が現れていますね。
アウターは少し差があって、
リアのギアで大体2枚分の差があります。
700cのアウタートップから3枚目くらいと、RSCのアウタートップが同じくらい。
これがまあミニベロの限界に近いでしょう。
これでも56Tが採用されていて、
ミニベロにしてはギア比が高くなるようになっているのですが、
いかんせんホイール径が小さいことがカバーし切れていません。
それでも、ケイデンス90rpmで44km/h出せるので問題ないでしょう。
ケイデンスを100まで上げれば50km/h出すことも出来ますし、
下りでもペダルを回したくなるようなレースでもない限り、
ミニベロでこれ以上のギアを必要とする状況はほとんど生まれないはずです。
RSCのギア比を総合すると、
「コンパクトクランクのロードとほぼ同じだけど、アウタートップが少し低め。
ミニベロロードなら十分」
というところでしょうか。
次にRSPと700cロードの速度@90rpmを比較してみましょう。
グラフにしてみました。
黒線は700c、赤がRSCです。
また、実線+●がアウター、点線+三角形がインナーです。
なお、700cはRSCを比較したときと同じ条件ですが、
そうすると11速のロードと8速のRSCを比較することになるので
グラフの左右の幅が合うように、一速ごとの横幅を調整しています。
見てすぐ感じ取れるのは、
700cと比べるてRSPのギアがずいぶん軽い方に寄っている事です。
11速換算で、アウターが3枚くらい、インナーが1.5枚くらい低いギアになります。
リアのスプロケットはRSCもRSPも11-28で範囲は同じです。
とするとこの違いはフロントギアで生じています。
RSCのフロントギアがミニベロ特注の56/42だったのに対し、
RSPは通常のノーマルクランクセットで売っている52/39。
700cをコンパクトクランクに設定したとは言え、
フロントが2Tしか違わないのであれば、
歴然としたホイールサイズの差が現れてしまいますね。
しかしこの低ギアは、
むしろ意図しているのだろうと思うのです。
RSCはどちらかというとランドナー的で、
レース志向ではなくのんびりサイクリング志向だと思うのです。
今風に言うとポタリング。
重いギアでガシガシ踏んでいくよりも、
軽いギアをくるくるまわしてなるべく疲労の残らないように山を上る、
そんなイメージ。
もしくは、もっと楽々なケースで、
単なる街乗りも含まれているでしょう。
レーサージャージよりも、
動きやすいけど渋めのカジュアルなんかが似合うイメージ。
もうこれまでに何度も触れていますが、
パーツ構成を見ると、
RSC・RSPに込められた想いが強く感じられます。
RSCの部品構成で感じ取れるのは、
小径ロードバイク
です。
ホイールサイズが小さいミニベロですが、
ホイール以外は普通のロードと変わらない。
それは例えば、
ミニベロにしては珍しくSTIが採用されていること、
チェーンリングに特別大きな歯数(56/42)が採用されていること、
ブレーキにキャリパーブレーキを採用し、泥除けを排していること。
この辺りはミニベロとしては珍しいことですし、
特にランドナーのイメージの強いRaleighにしては意外です。
ブレーキにロングリーチではなく、あえてショートリーチを採用しているところに
覚悟がうかがえます。
アウタートップのギアがどうしてもロードに及びませんが、
その差は可能な限り小さくなるようにされています。
コンポに105を採用することで、
将来的にアルテグラやDURA ACEへのグレードアップも簡単です。
ロードと同じ扱いが出来るミニベロ、
それがRaleighのRSC RSW Carltonなのです。
弱点は、
そうですね、
ミニベロにしては高価格な152,000円(税別)という値段だけでしょうか。
将来的にはDi2採用ミニベロも出してくれそうな勢いです。
RSPの部品構成で感じ取れるのは、
気ままにサイクリング
です。
「ランドナー懐古主義」
とか
「ポタリング」
とかも候補として考えたのですが、
どうもしっくり来ません。
ランドナーやスポルティーフを意識したパーツ構成なのは確実です。
現在の8速にはCLARISグレードが整備されたおかげで、
Wレバーを採用するのとSTIを採用するのとで
あまり価格的なメリットを享受できないと思いますが、
あえてWレバーです。
ブレーキもカンチブレーキは効きが悪いので、
泥除けを付ける需要がない限りあまり採用する意味がありません。
他にも、バーテープやサドルのブラウン採用、
タイヤにスキンサイドを採用しているのは、
明らかに古き良きランドナーを意識しています。
それでも懐古と言いたくなかったのは、
フロントダブルでリアスプロケをワイドにする現代的なギア、
フロントディレイラーの変速性能を高めるFD台座用チューブ採用、
そしてそもそもCLARISでリア8速に対応していること。
これらを考えると、懐古主義と言ってしまってはちょっと失礼な気がしました。
現代のランドナーの立ち位置を奪うくらいの気迫を感じられます。
「ポタリング」は、
あまりにも現代の言葉過ぎてイメージに合いません。
RSPにはやはりサイクリングと言う言葉の方がしっくりきます。
そんなに気合の入ったRSPですが、
買い物に行く足としても使えますし、
川辺をのんびり散歩するだけでも良いですし、
気ままに走っていたらヒルクライムが始まっちゃっても大丈夫。
かなり広い範囲のサイクリングに対応できます。
ミニベロにしては少し値段が高くなりますが、
満足できる品物になるでしょう。
というわけで、Raleighのミニベロの考察をしてきましたが、
そろそろ2016年モデルも発表されるのではないかと言う時期になってしまいました。
2016年も、
RSCやRSPのような素晴らしいミニベロ(ダイヤモンドフレームのタイプ)が
ラインナップされることを願っています。
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今回は、
まずはRSC・RSPのギアが700cロードバイクと比べ、
どのようなギア比になっているか考察します。
次に、ギアを含めたパーツ全体のを組み合わせで、
RSC・RSPがどのように仕上がっているかを見る総括編です。
早い話がまとめ編。
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パーツリスト | ||
パーツリストを再掲しておきます。
name | RSC RSW Carlton | RSP RSW Special |
---|---|---|
color | スチールグレー | グロスブラック クイーンズアイボリー |
Size | 460mm 520mm | 440mm 520mm |
Frame | REYNOLDS 520 Mid-size D.B. TIG Welding | Cr-Mo Std-size D.B. TIG Welding |
Fork | Carbon Aero Blades | Cr-Mo w/Investment-cast Crown |
Headset | FSA INTELLASET 1-1/8” AHEAD w/5,10,10,15mm Spacers | TH-1150 1” Threaded w/20mm Spacer |
BB set | BB-UN26 110mm-68mm | BB-UN26 110mm-68mm |
Handle Bar | JD Shallow-Drop 400mm Φ31.8 | HL DR-AL-10 Maes-Drop 410mm Φ25.4 |
Handle Stem | KALLOY AS-21 -17° 100mm | HL HE-C80D-2 100mm -17° 150mmQuill |
Bar-tape/Grips | Diamond-pattern | PU Brown w/Alloy Caps |
Shifter | ST-5800 11 speed | SL-R400 8 speed |
Rear Derailleur | RD-5800-SS | RD-2400-SS |
Front Derailleur | FD-5800 (105) 28.6mm 11speed | FD-2400 (バンド式31.8mm) |
Chainwheel | スギノ RD 5000D SQ (56x42T) 165mm (460) 170mm (520) Large Gear Special Minivelo-Road Spec (リンク先はRD2) | スギノ RD 5000D SQ 170mm (52x39T)リンク先はRD2 |
Gear | CS-5800 (105) 11speed 11-28 | CS-HG50-8 11-28 (CLARIS) 8 speed |
Chain | CN-HG600-11 (105) 11speed | CN-HG40 |
pedals | - | Wellgo LU-962 |
Brakes | BR-5800 (105) | BR-CX50 |
Levers | 兼用レバー (shifterを参照) | BL-R400 |
Front Hub | HB-5800 (105) 32H | HB-2400 (CLARIS) 32H |
Rear Hub | FH-5800 (105) 32H | FH-2400 (CLARIS) 32H |
Spokes | 14G Stainless | 14G Stainless |
Rims | ALEXRIMS R-390 32H silver (リンク先はblack) | ALEX VP-15F 20” ETRTO-451 Polish Silver 32H |
Tires | KENDA 20×1 KONTENDER | DURO 20×1-3/8 Skinside F/V |
Saddle | VELO Racing CrN/Ti Rail RALEIGH-spec | VELO Brown/Beige CITY RALEIGH-spec |
Post | KALLOY SP-373 27.2×350 | KALLOY SP-373 27.2×300 |
Madguards | 無し | Raleigh original British-style Alloy Anodized w/adjustable stays |
Weight | 9.2kg | 11.0kg (11.4kg) |
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ギア比 | ||
まずはギア比を考察します。
とは言え、純粋にギア比で考えてしまうと
ホイールサイズとギア比を同時に考えないといけなくなってしまいます。
それでは感覚的な比較が難しくなってしまうので、
今回は
ケイデンス90rpmのときの速度
で比較したいと思います。
「ディヴェロップメント(クランク1回転で進む距離)」なら
ホイールサイズも要素に入っているので話が単純に出来るのですが、
そもそもディヴェロップメントがあまりにも一般的ではなさ過ぎます。
なので当ブログではケイデンス90のときの速度で比較しています。
なお、700cロードのギアは、
フロントは50/34というきわめて一般的なコンパクトクランク、
リアは11速でちょっとワイド目ではありますが一般的なな11-28。
11-28はRSCと同じものです。
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RSC | ||
まずはRSCと700cロードの速度@90rpmを比較してみましょう。
グラフにしてみました。
黒線は700c、緑がRSCです。
また、実線+●がアウター、点線+三角形がインナーです。
まずはインナー。
ほとんど一致していますが、
よく見ると、わずかにRSCの方が軽い。
と言ってもギア1枚も違いません。
ギア0.7枚くらい。
RSCのインナーが42Tになっている効果が現れていますね。
アウターは少し差があって、
リアのギアで大体2枚分の差があります。
700cのアウタートップから3枚目くらいと、RSCのアウタートップが同じくらい。
これがまあミニベロの限界に近いでしょう。
これでも56Tが採用されていて、
ミニベロにしてはギア比が高くなるようになっているのですが、
いかんせんホイール径が小さいことがカバーし切れていません。
それでも、ケイデンス90rpmで44km/h出せるので問題ないでしょう。
ケイデンスを100まで上げれば50km/h出すことも出来ますし、
下りでもペダルを回したくなるようなレースでもない限り、
ミニベロでこれ以上のギアを必要とする状況はほとんど生まれないはずです。
RSCのギア比を総合すると、
「コンパクトクランクのロードとほぼ同じだけど、アウタートップが少し低め。
ミニベロロードなら十分」
というところでしょうか。
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RSP | ||
次にRSPと700cロードの速度@90rpmを比較してみましょう。
グラフにしてみました。
黒線は700c、赤がRSCです。
また、実線+●がアウター、点線+三角形がインナーです。
なお、700cはRSCを比較したときと同じ条件ですが、
そうすると11速のロードと8速のRSCを比較することになるので
グラフの左右の幅が合うように、一速ごとの横幅を調整しています。
見てすぐ感じ取れるのは、
700cと比べるてRSPのギアがずいぶん軽い方に寄っている事です。
11速換算で、アウターが3枚くらい、インナーが1.5枚くらい低いギアになります。
リアのスプロケットはRSCもRSPも11-28で範囲は同じです。
とするとこの違いはフロントギアで生じています。
RSCのフロントギアがミニベロ特注の56/42だったのに対し、
RSPは通常のノーマルクランクセットで売っている52/39。
700cをコンパクトクランクに設定したとは言え、
フロントが2Tしか違わないのであれば、
歴然としたホイールサイズの差が現れてしまいますね。
しかしこの低ギアは、
むしろ意図しているのだろうと思うのです。
RSCはどちらかというとランドナー的で、
レース志向ではなくのんびりサイクリング志向だと思うのです。
今風に言うとポタリング。
重いギアでガシガシ踏んでいくよりも、
軽いギアをくるくるまわしてなるべく疲労の残らないように山を上る、
そんなイメージ。
もしくは、もっと楽々なケースで、
単なる街乗りも含まれているでしょう。
レーサージャージよりも、
動きやすいけど渋めのカジュアルなんかが似合うイメージ。
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総括 | ||
もうこれまでに何度も触れていますが、
パーツ構成を見ると、
RSC・RSPに込められた想いが強く感じられます。
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RSC RSW Carlton | ||
RSCの部品構成で感じ取れるのは、
小径ロードバイク
です。
ホイールサイズが小さいミニベロですが、
ホイール以外は普通のロードと変わらない。
それは例えば、
ミニベロにしては珍しくSTIが採用されていること、
チェーンリングに特別大きな歯数(56/42)が採用されていること、
ブレーキにキャリパーブレーキを採用し、泥除けを排していること。
この辺りはミニベロとしては珍しいことですし、
特にランドナーのイメージの強いRaleighにしては意外です。
ブレーキにロングリーチではなく、あえてショートリーチを採用しているところに
覚悟がうかがえます。
アウタートップのギアがどうしてもロードに及びませんが、
その差は可能な限り小さくなるようにされています。
コンポに105を採用することで、
将来的にアルテグラやDURA ACEへのグレードアップも簡単です。
ロードと同じ扱いが出来るミニベロ、
それがRaleighのRSC RSW Carltonなのです。
弱点は、
そうですね、
ミニベロにしては高価格な152,000円(税別)という値段だけでしょうか。
将来的にはDi2採用ミニベロも出してくれそうな勢いです。
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RSP RSW Special | ||
RSPの部品構成で感じ取れるのは、
気ままにサイクリング
です。
「ランドナー懐古主義」
とか
「ポタリング」
とかも候補として考えたのですが、
どうもしっくり来ません。
ランドナーやスポルティーフを意識したパーツ構成なのは確実です。
現在の8速にはCLARISグレードが整備されたおかげで、
Wレバーを採用するのとSTIを採用するのとで
あまり価格的なメリットを享受できないと思いますが、
あえてWレバーです。
ブレーキもカンチブレーキは効きが悪いので、
泥除けを付ける需要がない限りあまり採用する意味がありません。
他にも、バーテープやサドルのブラウン採用、
タイヤにスキンサイドを採用しているのは、
明らかに古き良きランドナーを意識しています。
それでも懐古と言いたくなかったのは、
フロントダブルでリアスプロケをワイドにする現代的なギア、
フロントディレイラーの変速性能を高めるFD台座用チューブ採用、
そしてそもそもCLARISでリア8速に対応していること。
これらを考えると、懐古主義と言ってしまってはちょっと失礼な気がしました。
現代のランドナーの立ち位置を奪うくらいの気迫を感じられます。
「ポタリング」は、
あまりにも現代の言葉過ぎてイメージに合いません。
RSPにはやはりサイクリングと言う言葉の方がしっくりきます。
そんなに気合の入ったRSPですが、
買い物に行く足としても使えますし、
川辺をのんびり散歩するだけでも良いですし、
気ままに走っていたらヒルクライムが始まっちゃっても大丈夫。
かなり広い範囲のサイクリングに対応できます。
ミニベロにしては少し値段が高くなりますが、
満足できる品物になるでしょう。
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終わりに | ||
というわけで、Raleighのミニベロの考察をしてきましたが、
そろそろ2016年モデルも発表されるのではないかと言う時期になってしまいました。
2016年も、
RSCやRSPのような素晴らしいミニベロ(ダイヤモンドフレームのタイプ)が
ラインナップされることを願っています。
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