シマノホイールの選択 [自転車部品探訪]
久しぶりにロード参加のイベント、
乗鞍ヒルクライムレポートでは触れませんでしたが、
ホイール選択を迷っていました。
結局、前輪は通勤号のWH-RS21、
後輪はアメリカンクラシックのリムを使った手組ホイールです。
以前は前輪もアメリカンクラシックリムの手組ホイールを持っていたのですが、
車に巻き込まれた事故でポテチ状態になり廃棄。
まだ使えそうな16hのMICRO 58というフロントハブだけ残して。
現在はフロントホイール難民なのです。
というわけで、いい加減ホイールを新調します。
そこで各ホイールの比較をしてみるという内容です。
MAVIC・Campagnolo・Fulcrumなど色々とありますが、
フロントだけで購入した場合に特徴のあるホイールだと目立ちそうなので、
あえて見た目の特徴のないシマノホイールに照準を合わせました。
フロントだけで売っているところも多いことと、
国内で買う分には比較的リーズナブルなことも重要です。
とは言っても、シマノのロードホイールだけでもかなりの数があります。
ちょっと調べてみただけでも、
現行で23種類。
一旦スペックを箇条書きにしてみます。
※1 テクノロジー
※2 Rホイール (リアホイール)
おっと、項目が多すぎて分かりにくいですね。
ちょっと小分けにしましょう。
ホイールは予算やタイヤ(クリンチャー/チューブラー/チューブレス)、
色などでも選べますが、
とりあえず、目的別に分けて考えてみようと思います。
目的別に大雑把に分けるとすると、
リムの高さで分けるとなかなかよい具合に分かれそうですね。
私はミドル~ローハイトリムのホイールが欲しいのですが、
ついでに高ハイトリムのホイールについても見てみましょう。
*******************
** リムハイト 75mm
*******************
まずはリム高75mmから。
このハイトのホイールは1種類しかないので選択の余地はありません。
(もちろん、ZIPPなど別のメーカーには存在するので、
メーカー間での比較になります。)
WH-9000-C75-TUは高級ホイールでありながら、
後輪リムがオフセットリムになっていません。
D2リムを採用しているホイールは全てオフセットリムではないので、
D2リムの場合はオフセットの必要がないのか、
オフセットリムを作れないのか、
ちょっとその辺り興味がわきます。
D2リムと言うのは、これまでの高ハイトリムよりもエアロ特性を向上させたものです。
その結果、今までよリム幅が広がっています。
リム幅に着目すると、
WH-9000-C75-TU(とWH-9000-C50-TU)は、
D2リムの中でも特に広い24mmです。
幅広の方がエアロ特性がいいのでしょうか。
最近は25cくらいの幅広のタイヤがはやっていることも影響してそうです。
*******************
** リムハイト 50mm
*******************
次に、リム高50mmのタイプ。
50mmになると、DURA-ACEブランドのホイールWH-9000シリーズに、
チューブラーとクリンチャーの両方が設定されています。
また、WH-9000シリーズの廉価版に位置するWH-RS81-C50-CLもあります。
WH-9000-C50-TUが最も軽く出来ているのはチューブラータイヤのおかげです。
チューブラーはその構造的にリム強度を確保しやすいですから、
軽量にしやすいですよね。
シマノも高級チューブラーホイールにはフルカーボンリムを採用しています。
また、シマノはクリンチャーにはフルカーボンリムを採用しないので、
フルカーボンチューブラー対アルミ・カーボンコンポジットのクリンチャーでは
さすがにチューブラーの方が数段軽量化されますね。
シマノのアルミ・カーボンコンポジットリムも
普通のフルアルミリムと比べると軽量なのですが、
フルカーボンと比べるのは酷です。
同じアルミ・カーボンコンポジットクリンチャーのWH-9000-C50-CLとWH-RS81-C50-CLでも
ペア重量で200g以上の差があるのは面白いですね。
表から分かる違いと言えば、
WH-9000-C50-CLとWH-RS81-C50-CLはD2を採用しているので
同様のリムを使っていると思われます。
とすると違いはハブとスポークとニップル。
その差でこれだけの重量差だとすると、
回転体の外側(ホイールで言えばリム)の重量は大体同じだけに
どこまで違いを感じられるかは不明です。
ちなみに、某自転車雑誌によると、
DURA-ACEホイールのリム重量は以下の表の様になっているらしいです。
DURA-ACEホイール(WH-9000系)とRS8x系ホイールのリムは
基本的には同じものを採用されているとの噂があります。
もちろんデカールが違いますし、
微妙なところではスポークホールの大きさが違うと聞いたことありますが、
大体同じなのでしょう。
そうすると、名より実をとるなら、
RS8x系を選択する方が賢い選択かと思います。
ただし、買い替え時はヤフオクなどで売る、ということを考えている方は、
リセールバリューを考えてDURA-ACE(WH-9000系)にする方が
最終的には安上がりになるでしょう。
*******************
** リムハイト 35mm
*******************
続いて、ミドルハイトの35mmリムのホイールを見てみましょう。
各社とも35mmは比較的最近開発されている高さですね。
35mmが出る前は、
ローハイトか50mm前後以上の高ハイトかに分かれてて、
ミドルと言っても28mmとかそのあたりでした。
35mmはエアロ効果もありつつ、
ハンドリングを取られにくいということで
バランスがいいという謳い文句のようです。
ですが、私はあまり魅力を感じるミドルハイトのホイールがありません。
どれをとっても中途半端に思えるのです。
中途半端なのに、
重量だけは50mmリムに肉薄する重さだったりします。
なんとなく、35mmあたりのホイールは、
メーカーの戦略として世の中に出現したものとしか思えないのです。
と、ネガティブなイメージを発表してから、
35mm系ホイールの表を出してみます。
35mm系は、D2リムを採用していません。
この辺りからもエアロ効果が中途半端な印象を受けます。
しかし、それ以外の注目オプトバル組・エクストラワイドフランジは採用しています。
エクストラワイドフランジは、
文字通りハブの横幅を広げて横剛性を上げた構造です。
フリー側はスプロケがありますので、
基本的には反フリー側をより外側に追いやった構造になったようです。
なんとなく簡単に実現できそうですが、
オチョコの関係でスポークテンションの差ができすぎて、
シマノの基準を許容できなかったのでしょう。
そのスポークテンションの差を埋めるべく(?)、
オプトバル組が採用されています。
オプトバルはCampagnoloのG3やFulcrumの2to1と同じく、
フリー側と反フリー側のスポーク数を2:1にする構造です。
普通は1:1なので左右のスポーク数が同じですが、
オプトバルの場合はそれぞれ14本と7本。
オプトバル組ホイールのスポーク数が21本と奇数なのはこのためです。
どうしてもフランジ幅を取れないフリー側は
スポークテンションが高くなってしまいます。
ならばフリー側のスポーク数を増やせば1本あたりのテンションは分散する
というのが基本思想。
聞けば納得ですが、
コロンブスの卵的な発想ですよね。
G3や2to1のパテントはうまく回避できているのでしょうか。
というわけで、エクストラワイドフランジを採用しているホイールは
必ずオプトバル組を採用しています。
そのおかげで、エクストラワイドフランジ(EWF)のホイールでも、
スポークテンションの左右差は
EWF不採用のホイールと同じか、それよりも差が小さくなっていますね。
例えば、エクストラワイドフランジ不採用のシマノホイールのスポークテンションは、
フリー側:120~150 kgf
反フリー側:60~90 kgf
というのが多いです。
これに対し、エクストラワイドフランジ採用のRS81のC50・C35やWH-9000のC53・C24-TUは
不採用のホイールと全く同じテンションですし、
WH-9000のC75とC50-CLに至ってはフリー側が100~130 kgfと
差が小さくなっています。
WH-9000-C50-TUは更に差が小さくて、フリー側80~110kgfです。
反フリー側が60~90kgfですから、
かなりバランスが取れた状態となっています。
ちなみにMAVICはイソパルス組ですね。
フリー側にスポークテンションが低くてもすむラジアル組、
反フリー側に駆動能力を持たせたタンジェント組みです。
一般的にはフリー側のスポークが駆動するという構造分析の図を見たことがありますので、
おそらくMAVICはハブなどで反フリー側で駆動できるように工夫しているのでしょう。
更についでに、シマノはWH-7800の時代には、
MAVICと同じように
フリー側ラジアル、反フリー側タンジェントでした。
これだけだとイソパルスそのもの。
(MAVICはもっとずっと前からキシリウムにイソパルス組を採用していました)
しかしWH-7900ではあっさりとやめてしまい、
フリー側・反フリー側ともタンジェント組になります。
そしてWH-9000系で採用されたオプトバルでは、
スポーク本数が変わりましたが
フリー側タンジェント、反フリー側ラジアルです。
イソパルスと真逆になりました。
一貫性の無さが心配になりますな。
なんだか盛大に脱線してしまいました。
もう一つ、35mm系にはRS81にTL(チューブレス)が設定されていますね。
一時はクリンチャーに変わるタイヤとしてデビューしましたが、
走行性能だけならチューブラーと変わらない
(か、リムの軽量化が出来る分チューブラーの勝ちか)、
パンク後の処理を考えるとクリンチャーの利便性にはかなわない、
チューブレスタイヤ自体の性能向上が遅い、
などの理由から今のところあまり選ぶ理由が見つかりません。
なお、チューブレスタイヤは結構重いので、
クリンチャータイヤ+チューブと同等かそれよりも重いことが多いです。
チューブラー並みの性能が欲しいが、
(チューブラーだとパンク時が面倒なので)
ロングライド時のパンクに普通のチューブを持ち歩けばよいチューブレスを選択する
というなかなかニッチな需要にしか応えられていないように思います。
更に、チューブレス対応リムは大抵クリンチャーリムよりも(リムテープを考慮しても)重いので、
チューブレス対応ホイールでクリンチャー運用するのはあまり勧められません。
結局、チューブレスはあまり魅力的ではないんですよね。
*******************
** リムハイト 24mm
*******************
さて、今回の新調ホイールの大本命、24mm系です。
このリムハイトになると、
DURA-ACE(WH-9000)系、RS81系の他に、
WH-6800(ULTEGRA)、WH-RS610-TL、
WH-RS61 ~WH-RS11までの廉価ホイールがあり、
選びたい放題です。
やはりこの辺が購買のボリュームゾーンなのでしょう。
ただし、この中でWH-9000-C24-TUだけは完全に別格です。
フルカーボンリムのWH-9000-C24-TUは現在のシマノホイールで最軽量ホイール。
D2リムこそ採用されていないですが、
ローハイトのWH-9000-C24-TUにエアロ効果は元々期待していないでしょう。
エクストラワイドフランジとオプトバルを採用して
横剛性を確保しつつも耐久性を上げています。
正に、シマノの技術を惜しげもなく詰め込んだホイールですが、
残念ながら価格もすごい(当然だ)。
私の購入対象にはなりません。
そもそも、今回はクリンチャーで考えてますしね。
それ以外のホイールは、
若干リムの高さ・幅が異なりますが、
基本的には同じですね
全てオフセットリムは採用しています。
日本では単品売りしていないWH-RS11にまでオフセットリムが採用されていますので、
出せるお金の範囲でできるだけ高いものを買えばいいかと。
私ならチューブレスホイールは避けます。
WH-RS31は30mmのリムハイトがあり、
エアロ効果は薄そうなのに無駄に重いので避ける。
WH-R501-30も同じく重いだけですね。
この辺りは30mというリムハイトの見た目が欲しい人用です。
そうすると、WH-RS81-C24-CLであれば
C24-CL前輪のみならで30,000円しない。
これならなんとか手が出せそうです。
*******************
** その他
*******************
WH-R501系はちょっと古いホイールで、11速に対応していません。
11速に対応していないと言うことは、
オチョコが微妙に適正側になるので、
「11速はずっと使わないぞ!」
という人はWH-R501の方がいいかもしれません。
が、まあ大抵は11速対応のWH-RS010-CL
を選択することになるでしょう。
ちなみに、WH-R501とWH-R501-Aの違いは、
WH-R501がノーマルスポーク、
WH-R501-Aがエアロスポークです。
エアロといってもそれほどの効果はなさそうなので、
まあ好きな方を選べばいいですね。
とは言え、このグループはただただ1円でも安いホイールが欲しい人が選択するホイールです。
ちょっとだけ足せばWH-RS11かWH-RS21が買えますからね。
スポーク数が多いのと、
ベントスポーク採用(スポークがストレートではなく、首つきのもの)なので、
修理がしやすいと言う利点があるにはありますが
おすすめではありません。
あまりいないと思いますが、
宿泊も含めた1週間とかそれ以上の超ロングライドをする人には
大きな利点になるでしょう。
が、だったら最初から手組ホイールにした方が
性能もよくて管理もしやすいものが手に入ります。
さすがにこの辺りの完組ホイールよりは高くなってしまいますが。
ランドナー・スポルティーフやキャンピングに乗っている方は、
おそらく32hか36hの手組でしょうね。
つまり、この辺りは完成車に採用される以外には
あまり意味のないホイールたちです。
というわけでWH-RS81-C24-CLに決まりかけていたのですが、
実は逆転で別のものになりそうです。
今回はシマノホイールの比較記事という事にして、
私のホイールの行方はまた次回に。
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乗鞍ヒルクライムレポートでは触れませんでしたが、
ホイール選択を迷っていました。
結局、前輪は通勤号のWH-RS21、
後輪はアメリカンクラシックのリムを使った手組ホイールです。
以前は前輪もアメリカンクラシックリムの手組ホイールを持っていたのですが、
車に巻き込まれた事故でポテチ状態になり廃棄。
まだ使えそうな16hのMICRO 58というフロントハブだけ残して。
現在はフロントホイール難民なのです。
というわけで、いい加減ホイールを新調します。
そこで各ホイールの比較をしてみるという内容です。
MAVIC・Campagnolo・Fulcrumなど色々とありますが、
フロントだけで購入した場合に特徴のあるホイールだと目立ちそうなので、
あえて見た目の特徴のないシマノホイールに照準を合わせました。
フロントだけで売っているところも多いことと、
国内で買う分には比較的リーズナブルなことも重要です。
とは言っても、シマノのロードホイールだけでもかなりの数があります。
ちょっと調べてみただけでも、
現行で23種類。
一旦スペックを箇条書きにしてみます。
テクノロジー※1 | 重量 [g] | Fホイール | Rホイール※2 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
型番 | D2 | OPT | EWF | 11s | ペア | F | R | 高 | 幅 | 数 | 高 | 幅 | 数 | ofst |
WH-9000-C75-TU | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 1545 | 678 | 867 | 75 | 24 | 16 | 75 | 24 | 21 | no |
WH-9000-C50-TU | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 1449 | 641 | 808 | 50 | 24 | 16 | 50 | 24 | 21 | no |
WH-9000-C50-CL | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 1672 | 752 | 920 | 50 | 22.4 | 16 | 50 | 22.4 | 21 | no |
WH-9000-C35-TU | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1362 | 647 | 715 | 35 | 20.8 | 16 | 35 | 20.8 | 21 | yes |
WH-9000-C35-CL | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1488 | 662 | 826 | 35 | 20.8 | 16 | 35 | 20.8 | 21 | no |
WH-9000-C24-TU | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1151 | 483 | 668 | 24 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-9000-C24-TL | - | - | - | 〇 | 1469 | 634 | 835 | 21 | 20.8 | 16 | 23 | 20.8 | 20 | yes |
WH-9000-C24-CL | - | - | - | 〇 | 1387 | 578 | 809 | 21 | 20.8 | 16 | 23 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS81-C50-CL | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 1908 | 841 | 1067 | 50 | 22.4 | 16 | 50 | 22.4 | 21 | no |
WH-RS81-C35-TL | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1744 | 767 | 977 | 35 | 20.8 | 16 | 35 | 20.8 | 21 | no |
WH-RS81-C35-CL | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1631 | 709 | 922 | 35 | 20.8 | 16 | 35 | 20.8 | 21 | no |
WH-RS81-C24-TL | - | - | - | 〇 | 1581 | 667 | 914 | 21 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS81-C24-CL | - | - | - | 〇 | 1502 | 615 | 887 | 21 | 20.8 | 16 | 21 | 20.8 | 20 | yes |
WH-6800 (-TL) | - | - | - | 〇 | 1640 | 700 | 940 | 23 | 20.8 | 16 | 20 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS61 (-TL) | - | - | - | 〇 | 1765 | 782 | 983 | 21 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS610-TL | - | - | - | 〇 | 1791 | 754 | 1037 | 21 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS31 (-CL) | - | - | - | 〇 | 1959 | 838 | 1121 | 30 | 20.8 | 16 | 30 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS21 (-CL) | - | - | - | 〇 | 1850 | 820 | 1030 | 22 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS11 (-CL) | - | - | - | 〇 | 1880 | 795 | 1085 | 24 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS010-CL | - | - | - | 〇 | 1859 | 789 | 1080 | 24 | 20.8 | 20 | 24 | 20.8 | 24 | yes |
WH-R501 (-CL) | - | - | - | - | 1900 | 822 | 1078 | 24 | 20.8 | 20 | 24 | 20.8 | 24 | no |
WH-R501-A (-CL) | - | - | - | - | 1900 | 822 | 1078 | 24 | 20.8 | 20 | 24 | 20.8 | 24 | no |
WH-R501-30 (-CL) | - | - | - | - | 2001 | 875 | 1126 | 30 | 20.8 | 20 | 30 | 20.8 | 24 | no |
※1 テクノロジー
D2 | : | D2リム |
OPT | : | オプトバル |
EWF | : | エクストラワイドフランジ |
11s | : | 11速対応フリー |
※2 Rホイール (リアホイール)
ofst | : | オフセットリム採用 |
おっと、項目が多すぎて分かりにくいですね。
ちょっと小分けにしましょう。
ホイールは予算やタイヤ(クリンチャー/チューブラー/チューブレス)、
色などでも選べますが、
とりあえず、目的別に分けて考えてみようと思います。
目的別に大雑把に分けるとすると、
リムの高さで分けるとなかなかよい具合に分かれそうですね。
私はミドル~ローハイトリムのホイールが欲しいのですが、
ついでに高ハイトリムのホイールについても見てみましょう。
*******************
** リムハイト 75mm
*******************
まずはリム高75mmから。
このハイトのホイールは1種類しかないので選択の余地はありません。
(もちろん、ZIPPなど別のメーカーには存在するので、
メーカー間での比較になります。)
テクノロジー※1 | 重量 [g] | Fホイール | Rホイール※2 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
型番 | D2 | OPT | EWF | 11s | ペア | F | R | 高 | 幅 | 数 | 高 | 幅 | 数 | ofst |
WH-9000-C75-TU | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 1545 | 678 | 867 | 75 | 24 | 16 | 75 | 24 | 21 | no |
WH-9000-C75-TUは高級ホイールでありながら、
後輪リムがオフセットリムになっていません。
D2リムを採用しているホイールは全てオフセットリムではないので、
D2リムの場合はオフセットの必要がないのか、
オフセットリムを作れないのか、
ちょっとその辺り興味がわきます。
D2リムと言うのは、これまでの高ハイトリムよりもエアロ特性を向上させたものです。
その結果、今までよリム幅が広がっています。
リム幅に着目すると、
WH-9000-C75-TU(とWH-9000-C50-TU)は、
D2リムの中でも特に広い24mmです。
幅広の方がエアロ特性がいいのでしょうか。
最近は25cくらいの幅広のタイヤがはやっていることも影響してそうです。
*******************
** リムハイト 50mm
*******************
次に、リム高50mmのタイプ。
50mmになると、DURA-ACEブランドのホイールWH-9000シリーズに、
チューブラーとクリンチャーの両方が設定されています。
また、WH-9000シリーズの廉価版に位置するWH-RS81-C50-CLもあります。
テクノロジー※1 | 重量 [g] | Fホイール | Rホイール※2 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
型番 | D2 | OPT | EWF | 11s | ペア | F | R | 高 | 幅 | 数 | 高 | 幅 | 数 | ofst |
WH-9000-C50-TU | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 1449 | 641 | 808 | 50 | 24 | 16 | 50 | 24 | 21 | no |
WH-9000-C50-CL | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 1672 | 752 | 920 | 50 | 22.4 | 16 | 50 | 22.4 | 21 | no |
WH-RS81-C50-CL | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 1908 | 841 | 1067 | 50 | 22.4 | 16 | 50 | 22.4 | 21 | no |
WH-9000-C50-TUが最も軽く出来ているのはチューブラータイヤのおかげです。
チューブラーはその構造的にリム強度を確保しやすいですから、
軽量にしやすいですよね。
シマノも高級チューブラーホイールにはフルカーボンリムを採用しています。
また、シマノはクリンチャーにはフルカーボンリムを採用しないので、
フルカーボンチューブラー対アルミ・カーボンコンポジットのクリンチャーでは
さすがにチューブラーの方が数段軽量化されますね。
シマノのアルミ・カーボンコンポジットリムも
普通のフルアルミリムと比べると軽量なのですが、
フルカーボンと比べるのは酷です。
同じアルミ・カーボンコンポジットクリンチャーのWH-9000-C50-CLとWH-RS81-C50-CLでも
ペア重量で200g以上の差があるのは面白いですね。
表から分かる違いと言えば、
WH-9000-C50-CLとWH-RS81-C50-CLはD2を採用しているので
同様のリムを使っていると思われます。
とすると違いはハブとスポークとニップル。
その差でこれだけの重量差だとすると、
回転体の外側(ホイールで言えばリム)の重量は大体同じだけに
どこまで違いを感じられるかは不明です。
ちなみに、某自転車雑誌によると、
DURA-ACEホイールのリム重量は以下の表の様になっているらしいです。
型番 | front [g] | rear [g] |
---|---|---|
WH-9000-C75-TU | 457 | 490 |
WH-9000-C50-TU | 408 | 412 |
WH-9000-C50-CL | 529 | 531 |
WH-9000-C35-TU | 410 | 415 |
WH-9000-C35-CL | 439 | 440 |
WH-9000-C24-TU | 250 | 250 |
WH-9000-C24-TL | 359 | 408 |
WH-9000-C24-CL | 408 | 439 |
DURA-ACEホイール(WH-9000系)とRS8x系ホイールのリムは
基本的には同じものを採用されているとの噂があります。
もちろんデカールが違いますし、
微妙なところではスポークホールの大きさが違うと聞いたことありますが、
大体同じなのでしょう。
そうすると、名より実をとるなら、
RS8x系を選択する方が賢い選択かと思います。
ただし、買い替え時はヤフオクなどで売る、ということを考えている方は、
リセールバリューを考えてDURA-ACE(WH-9000系)にする方が
最終的には安上がりになるでしょう。
*******************
** リムハイト 35mm
*******************
続いて、ミドルハイトの35mmリムのホイールを見てみましょう。
各社とも35mmは比較的最近開発されている高さですね。
35mmが出る前は、
ローハイトか50mm前後以上の高ハイトかに分かれてて、
ミドルと言っても28mmとかそのあたりでした。
35mmはエアロ効果もありつつ、
ハンドリングを取られにくいということで
バランスがいいという謳い文句のようです。
ですが、私はあまり魅力を感じるミドルハイトのホイールがありません。
どれをとっても中途半端に思えるのです。
中途半端なのに、
重量だけは50mmリムに肉薄する重さだったりします。
なんとなく、35mmあたりのホイールは、
メーカーの戦略として世の中に出現したものとしか思えないのです。
と、ネガティブなイメージを発表してから、
35mm系ホイールの表を出してみます。
テクノロジー※1 | 重量 [g] | Fホイール | Rホイール※2 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
型番 | D2 | OPT | EWF | 11s | ペア | F | R | 高 | 幅 | 数 | 高 | 幅 | 数 | ofst |
WH-9000-C35-TU | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1362 | 647 | 715 | 35 | 20.8 | 16 | 35 | 20.8 | 21 | yes |
WH-9000-C35-CL | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1488 | 662 | 826 | 35 | 20.8 | 16 | 35 | 20.8 | 21 | no |
WH-RS81-C35-TL | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1744 | 767 | 977 | 35 | 20.8 | 16 | 35 | 20.8 | 21 | no |
WH-RS81-C35-CL | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1631 | 709 | 922 | 35 | 20.8 | 16 | 35 | 20.8 | 21 | no |
35mm系は、D2リムを採用していません。
この辺りからもエアロ効果が中途半端な印象を受けます。
しかし、それ以外の注目オプトバル組・エクストラワイドフランジは採用しています。
エクストラワイドフランジは、
文字通りハブの横幅を広げて横剛性を上げた構造です。
フリー側はスプロケがありますので、
基本的には反フリー側をより外側に追いやった構造になったようです。
なんとなく簡単に実現できそうですが、
オチョコの関係でスポークテンションの差ができすぎて、
シマノの基準を許容できなかったのでしょう。
そのスポークテンションの差を埋めるべく(?)、
オプトバル組が採用されています。
オプトバルはCampagnoloのG3やFulcrumの2to1と同じく、
フリー側と反フリー側のスポーク数を2:1にする構造です。
普通は1:1なので左右のスポーク数が同じですが、
オプトバルの場合はそれぞれ14本と7本。
オプトバル組ホイールのスポーク数が21本と奇数なのはこのためです。
どうしてもフランジ幅を取れないフリー側は
スポークテンションが高くなってしまいます。
ならばフリー側のスポーク数を増やせば1本あたりのテンションは分散する
というのが基本思想。
聞けば納得ですが、
コロンブスの卵的な発想ですよね。
G3や2to1のパテントはうまく回避できているのでしょうか。
というわけで、エクストラワイドフランジを採用しているホイールは
必ずオプトバル組を採用しています。
そのおかげで、エクストラワイドフランジ(EWF)のホイールでも、
スポークテンションの左右差は
EWF不採用のホイールと同じか、それよりも差が小さくなっていますね。
例えば、エクストラワイドフランジ不採用のシマノホイールのスポークテンションは、
フリー側:120~150 kgf
反フリー側:60~90 kgf
というのが多いです。
これに対し、エクストラワイドフランジ採用のRS81のC50・C35やWH-9000のC53・C24-TUは
不採用のホイールと全く同じテンションですし、
WH-9000のC75とC50-CLに至ってはフリー側が100~130 kgfと
差が小さくなっています。
WH-9000-C50-TUは更に差が小さくて、フリー側80~110kgfです。
反フリー側が60~90kgfですから、
かなりバランスが取れた状態となっています。
ちなみにMAVICはイソパルス組ですね。
フリー側にスポークテンションが低くてもすむラジアル組、
反フリー側に駆動能力を持たせたタンジェント組みです。
一般的にはフリー側のスポークが駆動するという構造分析の図を見たことがありますので、
おそらくMAVICはハブなどで反フリー側で駆動できるように工夫しているのでしょう。
更についでに、シマノはWH-7800の時代には、
MAVICと同じように
フリー側ラジアル、反フリー側タンジェントでした。
これだけだとイソパルスそのもの。
(MAVICはもっとずっと前からキシリウムにイソパルス組を採用していました)
しかしWH-7900ではあっさりとやめてしまい、
フリー側・反フリー側ともタンジェント組になります。
そしてWH-9000系で採用されたオプトバルでは、
スポーク本数が変わりましたが
フリー側タンジェント、反フリー側ラジアルです。
イソパルスと真逆になりました。
一貫性の無さが心配になりますな。
なんだか盛大に脱線してしまいました。
もう一つ、35mm系にはRS81にTL(チューブレス)が設定されていますね。
一時はクリンチャーに変わるタイヤとしてデビューしましたが、
走行性能だけならチューブラーと変わらない
(か、リムの軽量化が出来る分チューブラーの勝ちか)、
パンク後の処理を考えるとクリンチャーの利便性にはかなわない、
チューブレスタイヤ自体の性能向上が遅い、
などの理由から今のところあまり選ぶ理由が見つかりません。
なお、チューブレスタイヤは結構重いので、
クリンチャータイヤ+チューブと同等かそれよりも重いことが多いです。
チューブラー並みの性能が欲しいが、
(チューブラーだとパンク時が面倒なので)
ロングライド時のパンクに普通のチューブを持ち歩けばよいチューブレスを選択する
というなかなかニッチな需要にしか応えられていないように思います。
更に、チューブレス対応リムは大抵クリンチャーリムよりも(リムテープを考慮しても)重いので、
チューブレス対応ホイールでクリンチャー運用するのはあまり勧められません。
結局、チューブレスはあまり魅力的ではないんですよね。
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** リムハイト 24mm
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さて、今回の新調ホイールの大本命、24mm系です。
このリムハイトになると、
DURA-ACE(WH-9000)系、RS81系の他に、
WH-6800(ULTEGRA)、WH-RS610-TL、
WH-RS61 ~WH-RS11までの廉価ホイールがあり、
選びたい放題です。
やはりこの辺が購買のボリュームゾーンなのでしょう。
テクノロジー※1 | 重量 [g] | Fホイール | Rホイール※2 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
型番 | D2 | OPT | EWF | 11s | ペア | F | R | 高 | 幅 | 数 | 高 | 幅 | 数 | ofst |
WH-9000-C24-TU | - | 〇 | 〇 | 〇 | 1151 | 483 | 668 | 24 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-9000-C24-TL | - | - | - | 〇 | 1469 | 634 | 835 | 21 | 20.8 | 16 | 23 | 20.8 | 20 | yes |
WH-9000-C24-CL | - | - | - | 〇 | 1387 | 578 | 809 | 21 | 20.8 | 16 | 23 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS81-C24-TL | - | - | - | 〇 | 1581 | 667 | 914 | 21 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS81-C24-CL | - | - | - | 〇 | 1502 | 615 | 887 | 21 | 20.8 | 16 | 21 | 20.8 | 20 | yes |
WH-6800 (-TL) | - | - | - | 〇 | 1640 | 700 | 940 | 23 | 20.8 | 16 | 20 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS61 (-TL) | - | - | - | 〇 | 1765 | 782 | 983 | 21 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS610-TL | - | - | - | 〇 | 1791 | 754 | 1037 | 21 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS31 (-CL) | - | - | - | 〇 | 1959 | 838 | 1121 | 30 | 20.8 | 16 | 30 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS21 (-CL) | - | - | - | 〇 | 1850 | 820 | 1030 | 22 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
WH-RS11 (-CL) | - | - | - | 〇 | 1880 | 795 | 1085 | 24 | 20.8 | 16 | 24 | 20.8 | 20 | yes |
ただし、この中でWH-9000-C24-TUだけは完全に別格です。
フルカーボンリムのWH-9000-C24-TUは現在のシマノホイールで最軽量ホイール。
D2リムこそ採用されていないですが、
ローハイトのWH-9000-C24-TUにエアロ効果は元々期待していないでしょう。
エクストラワイドフランジとオプトバルを採用して
横剛性を確保しつつも耐久性を上げています。
正に、シマノの技術を惜しげもなく詰め込んだホイールですが、
残念ながら価格もすごい(当然だ)。
私の購入対象にはなりません。
そもそも、今回はクリンチャーで考えてますしね。
それ以外のホイールは、
若干リムの高さ・幅が異なりますが、
基本的には同じですね
全てオフセットリムは採用しています。
日本では単品売りしていないWH-RS11にまでオフセットリムが採用されていますので、
出せるお金の範囲でできるだけ高いものを買えばいいかと。
私ならチューブレスホイールは避けます。
WH-RS31は30mmのリムハイトがあり、
エアロ効果は薄そうなのに無駄に重いので避ける。
WH-R501-30も同じく重いだけですね。
この辺りは30mというリムハイトの見た目が欲しい人用です。
そうすると、WH-RS81-C24-CLであれば
C24-CL前輪のみならで30,000円しない。
これならなんとか手が出せそうです。
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** その他
*******************
テクノロジー※1 | 重量 [g] | Fホイール | Rホイール※2 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
型番 | D2 | OPT | EWF | 11s | ペア | F | R | 高 | 幅 | 数 | 高 | 幅 | 数 | ofst |
WH-RS010-CL | - | - | - | 〇 | 1859 | 789 | 1080 | 24 | 20.8 | 20 | 24 | 20.8 | 24 | yes |
WH-R501 (-CL) | - | - | - | - | 1900 | 822 | 1078 | 24 | 20.8 | 20 | 24 | 20.8 | 24 | no |
WH-R501-A (-CL) | - | - | - | - | 1900 | 822 | 1078 | 24 | 20.8 | 20 | 24 | 20.8 | 24 | no |
WH-R501-30 (-CL) | - | - | - | - | 2001 | 875 | 1126 | 30 | 20.8 | 20 | 30 | 20.8 | 24 | no |
WH-R501系はちょっと古いホイールで、11速に対応していません。
11速に対応していないと言うことは、
オチョコが微妙に適正側になるので、
「11速はずっと使わないぞ!」
という人はWH-R501の方がいいかもしれません。
が、まあ大抵は11速対応のWH-RS010-CL
を選択することになるでしょう。
ちなみに、WH-R501とWH-R501-Aの違いは、
WH-R501がノーマルスポーク、
WH-R501-Aがエアロスポークです。
エアロといってもそれほどの効果はなさそうなので、
まあ好きな方を選べばいいですね。
とは言え、このグループはただただ1円でも安いホイールが欲しい人が選択するホイールです。
ちょっとだけ足せばWH-RS11かWH-RS21が買えますからね。
スポーク数が多いのと、
ベントスポーク採用(スポークがストレートではなく、首つきのもの)なので、
修理がしやすいと言う利点があるにはありますが
おすすめではありません。
あまりいないと思いますが、
宿泊も含めた1週間とかそれ以上の超ロングライドをする人には
大きな利点になるでしょう。
が、だったら最初から手組ホイールにした方が
性能もよくて管理もしやすいものが手に入ります。
さすがにこの辺りの完組ホイールよりは高くなってしまいますが。
ランドナー・スポルティーフやキャンピングに乗っている方は、
おそらく32hか36hの手組でしょうね。
つまり、この辺りは完成車に採用される以外には
あまり意味のないホイールたちです。
というわけでWH-RS81-C24-CLに決まりかけていたのですが、
実は逆転で別のものになりそうです。
今回はシマノホイールの比較記事という事にして、
私のホイールの行方はまた次回に。
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