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シマノ 5800系新105 クランク比較 [自転車部品探訪]

11speedとなった5800系105お調べシリーズ、
今回はフロントクランクを調べてみます。
相変わらず、6800系アルテグラ、5700系105(旧105)と、5800系の
比較形式にする予定です。

ちなみに、5800系105では105固有のB.B.が発表されませんでした。
その代わり、セットとしては6800系のB.B.(SM-BBR60)がこっそり入っています。
B.B.自体、グレード間で差をつけることが難しそうな部品なので、
5800系固有B.B.無し、というのはやむを得ないと思います。

ただし、5800系をセットで購入する場合、
B.B.だけ割高なSM-BBR60をセットにして販売しているところが多いので、
購入時にはそれでいいかよく考えてください。
あと、SM-BBR60はブラックしかないので、
シルバーで揃えようとしている人は注意です。

Ultegra 新105 旧105
クランク FC-6800 FC-5800 FC-5700
FC-5750
構造 HOLLOWTECH II
クランク長 165/170/172.5/175mm
重量 765g 不明 846g (FC-5700)
805g (FC-5750)
アーム 4アーム 5アーム
チェーンリング HOLLOWGLIDE(中空ギア)
PCD110mm
ノーマルPCD130mm
コンパクトPCD110mm
歯数 53-39/52-36
50-34/46-36
53-39/52-36
50-34
53-39/52-39 (FC-5700)
50-34 (FC-5750)
リンク



さて、表にまとめてみましたが、
フロントクランクもブレーキキャリパー同様、
完全に6800系の流れに乗っていることが分かります。

まずは5700系までは
・ノーマルクランク (PCD130mm)
・コンパクトクランク (PCD110mm)
に分かれていましたが、FC-5800からはPCD110mmに統一。
これにより、50Tより大きいアウターギアを使うときはノーマルで、
39Tより小さいインナーギアを使うときはコンパクト、
のような使い分けが不要になりました。

と言っても、以前のコンパクトクランクでも
52Tや53Tのチェーンリングさえあれば付けられます。
たとえば、タイオガの53Tなどがそうです。
ただ、PCDが小さいのに大きいギアのチェーンリングは剛性が足らないそうです。
普通に乗ってるときには問題ないのですが、
変速時にチェーンの移動に絶えられず、ギアがたわむのです。
そのせいで、変速が渋くなるという結果になるとか。

それを解決したのがシマノのHOLLOWGLIDEと呼ばれる中空ギアです。
クランク本体は元々HOLLOWTECH と呼ばれる中空クランクでしたが、
その技術をギア版にも採用して、
ギア版の剛性を高めたと言うことですね。

まあ、HOLLOWGLIDEは前世代(7900DURAや6700アルテ)時代には
既に採用されていた技術なのですが、
旧105(5700系)には採用されていなかったので、
新105(5800系)で105としては初採用です。

<追記>
FC-5800は一見HOLLOWGLIDEのようですが、
中空ギアではないようです。
失礼しました。

<追記2>
HOLLOWGLIDEではないですが、
軽量化のために裏側を肉抜きされているようです。
fc-5800_2.jpg
とっても掃除しにくそうですが・・・・。


PCDが110mmに一本化されたおかげで、
歯数の選択肢がFC-5800だけで53-39/52-36/50-34の3種類になりました。
これが5700系では、ノーマルFC-5700(53-39/42-39)とコンパクトFC-5750(50-34)で分かれていましたからね。
ユーザーとしては自由度が上がって嬉しい変更でしょう。
(製造側としても、在庫の種類や調達部品点数の減少で嬉しいはず)
この点に関しては、誰も損をしていない、素晴らしい変更点だったと言えます。
値段もほとんど変わらないみたいですしね。
地味に52-39が廃止されて52-36になっていますが、
これも、こっちの方が嬉しい人の方が多そうな気がしますがどうでしょうか。

ただ、アルテグラに46-34があって、105には46Tアウターがないのは
どこか納得いかないものがありますが・・・。
むしろ必要なのは105の方だと思うのです。
おそらく、46Tは以前のジュニアスプロケ.(6600アルテくらいまであった)の名残だと思います。
ジュニアのレースではギア比の最大値が規定されているので、
ジュニアスプロケは13-25とか16-27がありました。
今はもうそんなスプロケは作ってないですね。
おそらく、フレームによってはトップギア歯数が大きいと干渉してつけられなかったりしたので、
リアを大きくするよりフロントを小さくする方向にしたのでしょう。
元々シクロクロスなどでは46Tくらいを作っているので、
技術的にも問題なかったと思います。
ただ、それをアルテグレードにしてちょっと高くしようとしているところがね。
この46-34Tは、
むしろ大人のツーリング・ポタリング派の人にとっては
非常にありがたい構成だと思います。
これはぜひこれからでも105に採用していただきたい。


そしてもう1点、大きな変更点は、
クランクアームが4アームに変更されたことです。
4本で剛性が保てるのか不安になりますが、
そこは自転車界の雄・シマノですから大丈夫でしょう。

これは、HOLLOWGLIDEでギア版の剛性が上がったことも
効果があるのかもしれませんが、
構造解析の結果の賜物のようです。

fc3.jpgfc4.jpgfc6.jpg

これはcyclowiredの9000系DURA紹介記事の画像なのですが、
こうしてみると、ペダルを下方向に向けたときの右下アームに
ほとんどの応力がかかっていることが分かります。
これでは5本もアームがなくても大丈夫というのが
素人目にも分かりますね。
ちなみに、上死点での応力分布はというと
fc12.jpg
こうなります。
上「死」点というだけあって当然ですがほとんど応力はかかりません。

応力のかかり方をみていると、右下アームだけもっと剛性を上げて、
残りの3本は細くして軽量化するなど、
改良の余地がありそうですが、どうなんでしょうね。


ただですね、機能的なものは置いておくとして、
4アームのクランクの見た目はどうですか?
あまり見慣れてないせいかもしれないですが、
私はまだ受け入れられません・・・。
カブトガニと揶揄された7900系のクランクFC-7900FC-7950
割とすぐに受け入れられたのですが、
9000系以降の4本アームはなかなか見た目を受け入れるのが難しいです。

これは好みの問題なので、人によりけりですがね。


もう1点、4本アームのデメリットは、
これまでの所有5アーム用チェーンリングが流用できないという点です。
これは4本アームが悪いというより、
互換性のなさが問題なだけですが。

たとえばrotor q-ringsや、o.symetricの楕円ギアなどを使用している方は、
ギア版だけ流用したいと思うはずです。
すでに、4アーム用のq-rings/o.symetricも発売されていますが、
既に所有している人にとっては買い換える必要があるので、
もったいないですよね。

技術革新と互換性はよく問題になりますが、
これが商売上の戦略でないことを祈ります。





というわけで、機能的なものだけを考えるならクランクもよいです。
ただ、私はこれまでのチェーンリングを使いたいので、
当分5本アームで過ごす予定です。

次回はフロントディレイラーです。

***** シマノ 5800系新105 比較 目次 *****
STI 編
ブレーキ編
クランク編
フロントディレイラー編
リアディレイラー編
スプロケ編
その他とまとめ編

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コメント 3

通りすがり

右下だけだと左足で踏み込んだらヴォキッ…
by 通りすがり (2014-07-01 21:48) 

通り抜け

私が購入したFC-5800 50-34T 172.5mmの重量は749.0gでした。

ブログの記事の内容を参考に読ませていただいたのでお礼にお知らせします。
by 通り抜け (2014-07-04 19:13) 

takerunosuke

通りすがりさん
ご指摘ありがとうございます。
左のことをすっかり忘れていました・・・
素人がアイデア出してもなかなかうまくいかないですね

通り抜けさん
情報ありがとうございます
早速、記事に反映させていただきます
FC-6800より軽いとは、意外ですね。
と思って調べてみたら、記事に載せている重量は、
BB込みのデータを参照していました・・・。
こちらは訂正しておきます
by takerunosuke (2014-07-06 19:25) 

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