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シマノ R9100系 NEW DURA ACE 発表 STI編 [自転車部品探訪]

シマノコンポーネントの普及の原点、STI編です。
それだけあって、デュアルコントロールレバーの開発には力を入れているでしょう。

ついでに、今回の大き目なトピックスの一つ、
シンクロシフトについても確認しておきましょう。



デュアルコントロールレバー

最近はあまりSTIとは呼ばないのでしょうか。
Shimano Total Integrationの頭文字をとってSTIですが、
それはあくまで機械式コンポの革命を代名詞。
電動が主流となっていく今後は、
STIと言う名前は型番のST-xxxxに残るくらいなんですかね。

将来的にはブレーキレバーのBL-xxxxだけが残って、
変速スイッチSW-xxxxを好きなところに配置するような構成になる日が来るでしょう。
技術の進歩ですが、
これはこれでなんだか寂しい気もします。
もし私が自転車に興味を持ったときがすでにそういう時代であったなら、
ここまで自転車を趣味としてハマってたかどうかは疑問です。

今はまだWレバーが懐古主義の象徴ですが、
そのうち機械式STIレバーでも古臭いシステムになるのでしょうね。
その時は私も懐古主義厨になっていることでしょう。
最新式も使いつつ、
1台は機械式STIを残しつつ。


見た目の変化

9000系はブラケットカバーとレバーの間にシルバーの部分がありましたが、
R9100系はフルブラックになりました。
すっきりした見た目がとてもいいと思います。

私が個人的に最も評価したいのはここですね。
R9100系は9000系から最も進化したのはその見た目。
無駄におしゃれにしようとしてツートンカラーにしたものの、
趣味の悪さ鹿のこらない中途半端になってましたから。
R9100は単色でまとめられていて、
自転車の格好良さやまとまりはユーザーに委ねられているいさぎよさ感が良いと思います。



レバーストローク


機械式STIは、レバーストロークが短くなりました。
リリースレバー(小さい方)は、左右ともに14%減。
メインレバーは左(フロント操作側)のみ14%減。

右(リア操作)のメインレバーは変化無いようです。
フロントよりリアの操作の方が多いので、
右レバーの改善が欲しかったところでしょう。
まあ、現在のストロークでも気になっていないのですが。



Di2のレバーストローク・・・は、これは単なるスイッチなので、
変わっていないでしょう。


シンクロシフト

Di2の最大のトピックはシンクロシフト。
(私にとっては30T対応の方が嬉しいですが)

MTB系のXTR Di2には導入されていたシンクロシフトが、
ロードにも採用されました。


シンクロシフトは、フロントとリアの操作をシームレスに行なえるシステムです。
そのときのギアから上げたいか下げたいかで、上げる・下げるのみを操作するだけ。
フロントディレーラー・リアディレーラーを意識しなくてよいので単純です。
MTBはフロント3速のこともありますし、
フロントを上げるからその分リアを2速落として・・・なんてやっている暇もなさそうですから、
とてもメリットのあるシフトだと思います。

ロードはそこまでシフト操作が頻繁ではないですし、
そこまで利用価値があるとは思えません。
でもまあ、使ってみれば便利なのかも、とも思います。
特に、レース志向な方よりも、
ツーリング志向・ポタリング志向な方に向いているのではないかと思います。



シンクロシフトモードの種類

シンクロシフトには2つのモードがあります。
  • フルシンクロモード
  • セミシンクロモード


まずはフルシンクロモード。
これはXTRと同じで、シフトアップとシフトダウンの操作しかしないモード。
フロントとリアのギアシフト配分は、Di2側で勝手に行なってくれます。
いつフロントディレーラーのシフトが行なわれるかわからないので
私としては少し怖い気がします。

特に、かなり踏み込んでいる上りで、
意識していないタイミングにフロントのギアシフトが行なわれたら・・・
そういうタイミングでフロントシフトされても問題ないくらい、
スムーズな変速になっているのでしょうか。



シンクロシフトの変速

フルシンクロモードの変速を調べてみましょう。




グラフは、縦軸(上下)がギア比で、
上に行くほどギア比が高い(重いギア)です。
横軸はリアスプロケ。
11-28Tのスプロケの歯数で並んでいます。
リニアに並んでいない※ので、
グラフを正確に作る気質の理系で揉まれてきた方は注意が必要です。

※本来は28~25Tの3T間隔と15~14Tの1T間隔は3倍の差があるのですが、
このグラフではスプロケットごとに等間隔に並べています。
並べるなら、
歯数ごとに並べる(例えば20Tがないなら1つ飛ばす)か、
歯数の逆数の大きさ順に並べるか、が分かりやすくて良いでしょう。




黄緑色と青の矢印でフロントアウター・インナーの範囲を分けてみました。

図の上側の緑の点(黄緑色の矢印側)が、フロントアウター固定でのギア比で、
青点(青矢印側)がフロントインナー固定にしたときのギア比です。
フロント2速 x リア11速なので、全部で22点あります。



まずはシフトダウンを考えてみましょう。
オレンジ色の矢印がシフトダウンのルートです。

最もギア比の高い、右上の緑の点がアウタートップ(アウターx11T)。
ここからシフトダウンをすると、オレンジ色の矢印の方向にシフトダウンしていきます。
リアが下から2番目のギアまではアウターのままリアのみの通常変速です。
もう1速下げようとしたところで、シンクロシフトが作動。
フロントをインナーに落としつつ、リアは25Tから21Tに2速上げています(右下方向のオレンジ矢印)。
それでも全体のギア比は下がっているのが分かります。
(ギア比はX軸方向のみ、つまりグラフの上下方向だけを見ればよい)

シンクロシフト以降、もうフロントはインナー側なので、
それ以上ギアを下げようとしても
リアディレーラーのみのシフトダウンでインナー・ローまで下がっていきます(左下)。


次にシフトアップ。
赤矢印がシフトアップのルートです。


左下のインナーローからシフトアップしていくと、
リアが15Tからシフトアップしようとしたときにシンクロシフトが発生しています。
このときは、フロントをアウターにシフトして、リアは19Tに2速下げています。
以降はリアを上げていくだけ。


結構単純なシフトなんですね。
ルートの点の数を数えると、上りも下りも14点。
シンクロシフトは、フロントを考慮しない14段変速のように考えればよさそうです。

これなら、フロントシングル化の流れも納得ですね。


上りと下りでフロント変速の位置、つまりシンクロシフト発生ギアが異なります。
この理由は、何となく説明がつきます。
なるべくフロントシフトを行なわない為と、
なるべくアウターリングを使いたい為でしょうね。
アウターを使いたい理由は、真円に近くなるスプロケットの歯数が大きい方、
が駆動効率がいいためでしょう。
なるべくフロントシフトを行なわないのは、
リアの方が変則がスムーズだから。
これはロード乗りなら誰もが実感してるところでしょう。


シンクロシフト発生のギア位置は、もしかしたらDi2設定で変更できるかもしれません。
それでも、シフトアップ・シフトダウンの操作しかしない中で、
いつフロント変速が発生するかは乗車中には分かりにくいもので、
それが分からないのは怖いです。
サイコンにギア表示させていればある程度分かるかもしれませんが・・・。

私はフルシンクロモードよりも、
次のセミシンクロモードの方が興味があります。



なお、R9100系Di2のTT向けコンポは、
フルシンクロモードでしか操作できないようです。
TTなので、ボタンを最小限にしたかったのでしょう。
フルシンクロモードなら、シフトアップ・シフトダウンの2つだけボタンがあればいいわけですから。



セミシンクロモードは、
フロント操作をしたときに、それに応じてリアも1~2速変速してくれるモードです。
今までの機械式でもDi2でも、
フロントをシフトアップしたらリアを1~2速下げて、
フロントをシフトダウンしたらリアを1~2速上げる、
これを手動でやっているはずです。
その操作を自動的にやってくれるのですから、いいかもしれません。
セミシンクロシフト発生タイミングは、
フロントシフトという決まったタイミングなので、変に驚くこともありません。
セミシンクロモードは便利そうだと思います。


もちろん、これまでどおりフルマニュアルでの操作もできます。
マルチシフトモードと呼ぶようです。
フルでもセミでもシンクロシフトに違和感を感じたら、
マルチシフトモードに戻しておけば問題ありません。



リンク

次回はリアディレーラー編です。

シマノ R9100系 NEW DURA ACE 目次
その01 トピックス編
その02 クランクセット・パワーメーター編
その03 ブレーキ編
その04 カセットスプロケット編
その05 STI・シンクロシフト編
その06 リアディレーラー編
その07 フロントディレーラー編
その08 チェーン編
その09 Di2ジャンクション編
その10 互換性とまとめ編


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